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【事例】クレジットカードの不正利用に関するご相談を受けました

相談者(30代・男性)

クレジットカードの不正利用被害を受けた男性からのご相談相談を受けました
具体的な相談内容は以下のとおりです。

■相談前

私は関東に住んでいるのですが、先日海外旅行をしました。
旅行が趣味であり飛行機に乗る機会が多いので、マイルが多く貯まるタイプのクレジットカードを使っています。

旅行先でも基本的にずっとクレジットカードを使っていました。
と言いますか、旅行中に限らずどのような買い物であっても基本的にカード払いにしています。年会費が発生するタイプのクレジットカードですから、できるだけどんどん使ってポイントや特典を獲得して元を取りたいからです。
それに、あまり小銭を持ち歩かなくていいというのも気に入っています。

海外旅行の最終日、空港の近くにあるコンビニで軽食を購入しました。

そして、何事もなく日本に戻り、自宅の最寄り駅に到着。
近くのドラッグストアで日用品を買おうとしたところで、既にトラブルが起きていたことに気付きました。
ドラッグストアのレジで店員さんにクレジットカードを使用するためのサインを書かされました。

しかし、サインを書き終えたところで「すみませんお客様。カードに記載されている氏名と、サインしていただいた氏名が一致しないようなのですが……」と言われました。

驚いてクレジットカードをチェックしてみると、本当に自分のものとは異なるカードを持っていました。持ち主が違うだけで、クレジットカードのデザインが似ていたので、取り違えたタイミングで気づくことができなかったのです。
私は混乱しながら手持ちの現金で支払いを済ませました。

とりあえず私の行動順序を振り返ってみましたが、私はこの「取り違えて持っているクレジットカード」で支払いはしていません。
店によっては、サインの確認などが非常に甘いところもあるので、別のところで買い物をしていたら、もしかしたら店員が通してしまっていたかもしれません。そうなっていたらかなり面倒な事になっていた可能性があると考えて少し恐ろしくなりました。

とりあえず急いで自宅に戻り、クレジットカード会社にクレジットカードの機能を停止してもらうよう電話で申請しました。
ですが、少し遅かったようで、クレジットカード会社の職員さんらしき人に「すでに他人に使用されてしまっているようです」と言われてしまいました。

ただ、私の不注意が原因とはいえ、何らかの保証があるに違いないと感じ、クレジットカード会社側にそのことを伝えました。

ですが、「不正利用されたという証拠がないので、通常通りに支払っていただくしかありません」と言われてしまいました。
恐る恐る具体的な金額を聞いてみましたが、「ほぼ限度額いっぱい」といったところでした。

幸い旅行中にかなりクレジットカードを使っていましたから、不正利用された金額はそれほど高いわけではありません。

しかし、私の意図しないところでクレジットカードを使われてしまった事に変わりはないので、このまま支払うというのは納得がいきません。

そのため、弁護士さんに何とかしてもらうべく相談する事にしました。
率直に言って、クレジットカード会社があれほど薄情だとは思いませんでしたが、弁護士さんであれば解決してくれると信じています。

※これらの内容は個人を特定できないよう、
相談者の承諾を得て編集し載せております。
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■相談後

弁護士さんには裁判手続きをお願いする事になるのかと思っていましたが、結局はそうはなりませんでした。

クレジットカードが使用されてしまった場所や日時、そして私が帰りの飛行機に乗った日時などを照らし合わせて「本人が使った可能性は極めて低い」という主張を、クレジットカード会社に対して行いました。
ですから、言ってみれば単なる話し合いをしただけです。
そして交渉の結果、7割の補償を受けることが叶いました。
扱いとしては「盗難補償」です。

最初は頭に血が上っていて、弁護士さんにも「必ず全額補償させてください!クレジットカード会社はひど過ぎる!」とまくし立ててしまいました。

しかし、弁護士さんがすぐに「全額補償を受けられるとは限りません。なぜなら、このクレジットカード会社が設けている『補償を受けるための条件』に完全には沿わない可能性があるからです」と言われました。

また、「クレジットカード会社は立場上、一つ一つの事象に対してテンプレートな対応をするしかありません。ですから、あまり『人情』を重んじたような対処は求めないほうが無難なのです」と言われました。

そこで、ようやく私も冷静さを取り戻しました。

その後、弁護士さんは、
「こちらに有利な証拠を集めて、クレジットカード会社に見せましょう。そうすれば一定の補償を受けることができる可能性があります」と言いました。

弁護士さんには裁判のことも聞いてみたのですが、
「率直に申し上げますが、裁判費用やかかる労力の関係上、裁判は行わないほうが圧倒的に良いと思います」とおっしゃっていました。

確かにそうですよね。
最初は、本当に「裁判で全額引きずり出す!」くらいの事を思っていましたが、裁判だってタダでできるはずがないに決まっていますよね。

そして、先ほどお伝えしましたが、交渉によって7割の補償を受けることとなりました。

実際、「単純な盗難」とは違って「取り違え」ですから、私にも少しは責任があると思います。
レジ店員にクレジットカードを返されたときにきちんと確認すべきでした。
と言いますか、今思い出しましたが、海外旅行のときはいつも気を付けて会計のたびにチェックしているのに、あのときはなぜ確認を怠っていました。

もちろん他人のカードを使った人間が一番悪いと思いますし、
「騙された人間が悪い」「盗まれた人間が悪い」という考え方は嫌いですが、これからはもっと注意しようと強く感じました。

いずれにせよ、私だけでは証拠を集めてクレジットカード企業に提示するなどという手段は思い浮かびませんでした。
もしそういったアイデアが出ても実行に移すことはできなかったはずです。

本当にありがとうございました。

※これらの内容は個人を特定できないよう、
相談者の承諾を得て編集し載せております。

■弁護士からのコメント

本件のように、「被害金額や労力を考慮すると、裁判を起こす事にメリットがなく、むしろデメリットが大きい」というケースは少なくありません。
(ただ、それを承知の上で、プライドや相手方に対する心情などを理由に裁判を起こす方は存在します。それを否定するつもりはございません)

「クレジットカードの不正利用被害」は多くのケースで金額が100万円未満となりますので、裁判は避けて交渉での解決を目指すことになるパターンがほとんどです。
本件では、その交渉で穏便に解決することができたので良かったです。

さて、クレジットカードを使用する際の注意点ですが、サインをきちんと書くことを心掛けてください。そうする事で「他人のカードを間違って使ってしまうこと」を防ぐことが可能です。

ただし、依頼者様も触れていますが、特に客が多く慌ただしい店の場合は、店員のチェックが甘くなることが少なくありません。
当職もクレジットカードで買い物をするときに「このような杜撰な確認で大丈夫なのだろうか」と感じることが少なくありません。

ですからやはり、会計を終えて店員からクレジットカードを返されるときに、取り違えがないかどうかをきちんと見ることをおすすめします。
もっとも国内であれば、店員がレジ自体のチェックのときなどに気付いて、大ごとにはならない場合が多いですが。

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